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December 07, 2005

第1週目 その1(10月25日)

Education

第一週その1(10月25日)
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前日にスイスに入り、最初の週の授業が始まりました。学生は24人が登録されていました。最初の日の午前中は、課題説明をしました。
1学期目に選んだ都市は、ロンドン、パリ、アムステルダム、バルセロナ、リュブリアナ、サラエボの6つです。なぜそれになったかというと、前に書いたように、クライアントや敷地を探すために、現地をよく知っている建築家の友人にエクスパートとして、情報提供と講評会やレクチャーにきてもらうことにしたからです。ロンドンはフィオナ・ラビー。RCAの先生をしていて、去年の冬レクチャーに呼んでくれたばかりでした。彼女がロンドンに自分の家をたてたことを知っていたので、その敷地を課題に提供してもらいました。パリはペリフェリックのダヴィッド・トロッタン。オペラシティでの展覧会で一緒になったのが最初ですが、その後もリサーチのワークショップを一緒にしました。彼らはパリの18区の住宅地を提案してくれました。アムステルダムは、ヤコブ・ファン・ライス。以前東工大に非常勤できた以来です。彼はアムスの出身ということで、引き受けてくれました。船の住宅ということで、運河の敷地を提案してくれました。バルセロナはヴィセント・グアラート。バルセロナに展覧会でいったときからの知り合いです。バルセロナでは戸建て住宅地はなかなか見つからないということで、最近バルセロナでよく見られるようになった、古いビルの上の増築というプログラムで、彼の事務所の屋上に、ペントハウスとして建てることになりました。リュブリアナは、ボスチャン・ブガーとユリ・サダール。「建築の新潮流」の展覧会で、昨年1年間、3回も会うことになったのですが、リュブリアナという都市で、インパクトのある建物を作っているのをみて、おそらくバットボーイズ的な建築家なのだろうなあと彼らにいったことがあります。彼らは中心から外れたすこし郊外的雰囲気もする1970年代の住宅地の敷地を提供してくれました。最後にサラエボは、アドナン・ハラムバシックです。以前に塚本がフランスのワークショップで一緒になった依頼の知り合いです。現在はオスロにすんでいますが、もともとボスニア出身で、サラエボの都市研究もしています。中心市街地の有名なレストランから分岐する坂道の途中の敷地を提案してくれました。
6人とも本当に忙しい人々なので、協力を受けてもらったことには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。戸建て住宅の可能性の話をすると、皆大変おもしろがってくれたのですが、だからこそ、このプロジェクトをおもしろいものにすることのが、彼らへの恩返しになるのでないかと思っています。

そうした話をして、学生たちに自主的に話し合ってもらって、6つの都市のチーム分けをしました。プロジェクトは、学生一人一人がそれぞれの都市にいる4人クライアントのために住宅を設計するので、基本的には、独立していますが、最初のそれぞれの都市に関するリサーチの部分は、グループでの取り組みになります。独立しているけど、一緒に話し合う仲間がいる体制はやりやすいのではないかと思います。
午後は、なせ都市型戸建て住宅なのかということを、戦後の日本の住宅作品の変遷と、アトリエ・ワンの作品を使って説明しました。
日本の住宅作品についてはここスイスでも大変関心を持たれていますが、その流れについてはいまだに英語やドイツ語などできちっとした情報がないのかもしれません。そのためか、日本についてはどうも美学的な方向の内容になってしまいがちですが、もっとその日本の建築社会の仕組みも含めて話すことで、ヨーロッパの都市文化と建築の関係と比較できて、かれらとの議論も深まるような気がしています。
日本や東京の都市型戸建て住宅を、奇妙だ、不思議だというものだけではなく、むしろ、個性によってつくられる多様な社会が許されている都市はあるのか、そういった仮説をかれらに投げかけることで、多様な社会性について、考えることができるとよいと思うのです。

Written by KAIJIMA Momoyo : 03:28 PM